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シニア世代には高福祉、ジュニア世代には低福祉の日本の社会保障

OECD諸国の中で、日本は高齢者向け社会支出では平均をかなり上回って34か国中上位ですが家族向け社会支出に関しては下位に属します。就学前児童向け社会支出については、さらに低くOECD平均を大きく下回り、OECD加盟国のうち同統計数値が発表されている22か国中最低となっており、日本の社会支出はシニア世代には高福祉、ジュニア世代には低福祉という世代間不均衡な社会となっています。

シニア世代には高福祉、ジュニア世代には低福祉の日本の社会保障

このような世代間の不均衡を緩和するひとつの方策として、私達は子供をもちたいと願うお母さん達を支援するための「未来世代基金」の設立を社会に提案しています。未来世代基金の詳細はこちら

 

2016年10月25日 設置

団塊世代とゆとり世代では5000万円の受益差の可能性ー日本の社会保障の世代間不均衡

生涯のうちに、社会保障に対してどのくらい負担して、どのくらい受益を得るかを世代別(生年別)に算出する世代会計という考え方があります。元秋田大学准教授で総合研究開発機構の島澤諭氏の世代会計の試算によると、日本の社会保障は、1946-50年生れの団塊世代では、1820万円の受益超であるのに対して、1981年以降生れの「ゆとり世代」「さとり世代」「少子化世代」などと呼ばれる1990年代生れの世代では3000万円の負担超となっており、団塊世代とゆとり世代では5000万円の差が生じる可能性があります。

団塊世代とゆとり世代では5000万円の格差ー日本の社会保障・世代間不公正

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2016年10月25日 設置

日本の社会保障の世代間不均衡は、他国と比較して極めて大きい

生涯のうちに社会保障に対してどのくらいを負担して、どのくらい受益を得るかを世代別(生年別)に算出する世代会計という考え方があります。カリフォルニア大学バークレー校のアラン・J・オーアーバック教授の試算によると、日本は教授が試算対象とした17ヵ国中世代間不均衡が最も大きく、ジュニア世代がシニア世代に比べて2.69倍(169%)の負担となっています。米国の1.51倍(51%)、ドイツの1.92倍(92%)、フランスの1.47倍(47%)、ほぼ完全均衡をとっているカナダ(0%)、ニュージーランド(0%)、逆に高齢者の方が若年層よりも負担の大きいスウェーデン-1.22(-22%)倍などと比べて、ジュニア世代の負担の大きな社会となっています。

世界一若者世代に過重負担―日本の社会保障の世代間格差

このような世代間不均衡を緩和するひとつの方策として、私達は子供をもちたいと願うお母さん達を支援するための「未来世代基金」の設立を社会に提案しています。未来世代基金の詳細はこちら

 

2016年10月25日 設置

社会保障負担の世代間不均衡が招いた「失われた20年」?

生涯のうちに社会保障に対してどのくらいを負担して、どのくらい受益を得るかを世代別(生年別)に算出する世代会計という考え方があります。カリフォルニア大学バークレー校のアラン・J・オーアーバック教授の試算によると、日本は教授が試算対象とした17ヵ国中、世代不均衡が最も大きく、ジュニア世代がシニア世代に比べて2.69倍(169%)の負担となっています。米国の1.51倍(51%)、ドイツの1.92倍(92%)、フランスの1.47倍(47%)、ほぼ完全均衡をとっているカナダ(0%)、ニュージーランド(0%)、逆に高齢者の方が若年層よりも負担の大きいスウェーデン-1.22(-22%)倍などと比べて、日本は若者世代に負担の大きな社会ということになります。

世代間不平等が招いた「失われた20年」

この世代会計の不均衡は、若年層に偏重した社会保障負担によって可処分所得を圧迫し、また、本来個人消費のけん引役である若年層に将来不安による消費性向低下をもたらして、経済成長の阻害要因となり得ます。実際に、上のグラフからわかるように、世代間格差の大きい国ほど、一人当たりGDP成長率が低く抑えられる傾向にあります(相関係数:-0.72)。

上のグラフ上で、スウェーデンは最も世代間の社会保障負担不均衡拡大の問題に直面しましたが、1994年与野党が年金改革に合意後、1990年代後半には力強い経済成長を取り戻し、世代間不均衡も解消され、出生率も向上しています。興味深いのは、スウェーデンの経済回復が、年金制度改革施行後の1999年からでなく、与野党が年金改革に合意した1994年直後から起こっていることです。このことは、世代間不均衡是正の経済的影響において、若年世代の社会保障負担減による実体経済的効果よりも、若年世代の将来不安が払拭されることの心理的効果の方が大きいことを示唆するものです。このグラフは計量経済学的実証を意図したものではありませんが、スウェーデンの経験とは対照的に、バブル崩壊後、世代間の社会保障負担不均衡を放置し低成長の道を歩んだ日本の「失われた20年」の複合要因のうちの重要な一面を説明できていると考えられます。

このような世代間不均衡を緩和するひとつの方策して、私達は子供をもちたいと願うお母さんたちを支援するための「未来世代基金」の設立を社会に提案しています。未来世代基金の詳細はこちら

 

2016年10月25日 設置

少子化問題は1990年に終焉、今日の問題は「子供がほしい願いがかなえられない」問題

近年、少子化問題が社会問題として大きく取り上げられています。また、それに関連付けて、「セックスしない若者」「恋愛しない若者」などと、少子化の原因が若者の資質にあるかのような議論がみられます。

しかし、出生率のデータをよく検証してみると、グラフからわかるように、「結婚しても子供をつくらない」傾向は、実は1990年に底をうち、それ以降は結婚した場合の子供の数(有配偶出生率)は増加傾向にあります。そして、2010年には、団塊世代が出産適齢期であった第二次ベビーブームの1980年の有配偶出生率を取り戻しています。1990年代以降の少子化は、少子化というよりは非婚化と考えた方がよいでしょう。

少子化問題解決のカギは中高年の世代意識改革

 

内閣府が2010年に実施した希望の子供数の国際調査によると(下のグラフ)、現在、希望の子供数は他の先進諸国と比べて少ないわけではありません。結婚・未婚を含めた男女20-49歳の希望の子供数は2.27で、アメリカの2.26よりもわずかながら多く、未婚者・同棲経験なしの男女20-49歳では2.01人で、アメリカの1.87人よりもかなり多くなっています。いずれの場合も、フランス、スウェーデンよりは少なくなっていますが、その差はいずれも0.2人以下です。

少子化問題は1990年に終焉、今日の問題は「子供がほしい願いがかなえられない」問題

ところが一方、実際の出生率をみると日本は1.42人で、アメリカの1.86人、フランスの1.98人、スウェーデンの1.88人と比べて大きな差があります。今日の日本の「少子化問題」は実は、子供をもちたいという願望の低下ではなく、結婚して子供がほしいという願望がかなえられない願望と現実のギャップ問題であるといえるでしょう。

私たちは、このように子供をもちたいと願うお母さん達を支援するための「未来世代基金」の設立を提唱しています。未来世代基金の詳細はこちら

2016年10月25日 設置

少子化要因としての世代間不均衡、それが招く「結婚したくてもできない」問題

近年、少子化問題が社会問題として大きく取り上げられています。少子化問題は実は1990年に終焉し、現在直面しているのは非婚化であることは、このサイトの別記事で述べましたが、非婚化をもう少し詳しくみてみると、実は、「結婚したくても結婚できない問題」であることがみえてきます。

その理由を示唆する一つのデータとして、雇用形態別の有配偶率の傾向のグラフを下に示しました。このグラフによると、正規雇用の男性は40-44歳で74%の有配偶率となっているのに対して、同年代でも非正規雇用者の場合、有配偶率は34%となっており、倍以上の開きがあることがわかります。

少子化要因としての世代間不平等、それがさらに世代間不平等を拡大するという負のスパイラル

若年層の非正規雇用者の割合は、次のグラフに示されるとおり、1995年以降増加の一途をたどっており、2011年には過半数を超えていますから、それが非婚率を高める大きな要因となっていることは間違いないでしょう。

少子化要因としての世代間不平等、それがさらに世代間不平等を拡大するという負のスパイラル

実際に、正規雇用者と非正規雇用者の未婚理由を比較してみると、30代未婚男性の正社員では「適当な相手がみつからないから」が最も多い未婚理由で50%であるのに対して、同年代未婚男性の非正規雇用者では「収入が十分ではなく結婚後に生活していくためのお金に不安があるから」が50%で最も多い未婚理由と、正社員の19%に対して2.5倍以上の開きがあります。また、「結婚するためのお金が足りない」という未婚理由についても、正規雇用者12%に対して、非正規雇用者は26%で倍以上の開きがあります。

少子化要因としての世代間不平等、それがさらに世代間不平等を拡大するという負のスパイラル

内閣府が2010年に実施した『少子化社会に関する国際意識調査』によると、「結婚生活を始めるために必要な二人の年収」は、日本は平均で32万円と調査対象国の中で一番低く(他は、フランス:33万円、アメリカ:46万円、スウェーデン:34万円、韓国:35万円)、国際的にみても結婚のハードルが低くなっていることがわかります。
2008年にOECDは、「日本では50歳代の高賃金が若者の雇用を圧迫しており、日本はもはや平等な国ではなく世代間格差が拡大している」と指摘しています。中高年世代に雇用を奪われ、非正規雇用や低賃金雇用に追いやられた若者世代はが社会保障負担を多く担うことになり、収入と負担の双方で世代間不均衡を招きます。「少子化問題」は今日では非婚化の問題であるわけですが、非婚化の背景にはこのような世代間不均衡があります。それがさらに非婚化(ひいては少子化)を進行させるという負のスパイラルに日本は陥ってしまっているといえるでしょう。
就職氷河期以降の世代の今日の非婚化が、経済的要因を中心としたものであるなら、それは社会が支援すべき問題ではないでしょうか。私達は、このように、子供をもちたいと願う、しかしその願いが経済的理由でかなえることができない世代を支援し、少子化と世代間不均衡の負のスパイラルから脱却するための「未来世代基金」の設立を社会に提案しています。
未来世代基金の詳細は
こちら

2016年10月24日 設置
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