我本調査では、オープンサイエンス関連施策・事業スキームの検討に向けて、国内外の先行事例の調査を行った。“オープンサイエンス”という言葉は、2011 年のMichael Nielsen の“Reinventing Discovery:The New Era of Networked Science”(邦訳『オープンサイエンス革命』)で使われた。“オープンサイエンス”は、研究成果を広く容易なアクセス・利用を可能にし、効果的に科学技術研究を推進するものであり、オープンアクセス とオープンデータ を含む概念とされる。第5 期科学技術基本計画では、知のフロンティアの拡大に伴い、科学研究の進め方もオープンサイエンスが世界的な潮流となりつつあることを踏まえ、分野・国境を越えて研究成果の共有・相互利用を促進し、従来の枠を超えた知識や価値が創出される可能性が高まっているとした。基本計画では、データ駆動型科学の新たな知の創出(例えば材料等)とともに、オープンアクセスによる新たな協働による知の創出、オープンデータによる研究成果の幅広い活用を掲げた。
調査の実施にあたっては、新たな潮流である“オープンサイエンス”を幅広く把握するため、関連政策の動向を踏まえ、研究成果の流通・活用、データ駆動型科学等の関連事例、研究成果のオープン化により得られた成果、研究成果を保管するためのリポジトリの構築・運用、実験データ等の解析による成果創出等の観点から、先行的な取組みの把握を行った(科学技術振興機構委託)