国内におけるリカレント教育の施策については、厚生労働省や経済産業省、文部科学省が連携して執り行っている。ただし、ポートフォリオとして十全かは不明で、いわゆる省庁の縦割りの弊害がある可能性がある。海外では、例えば欧州連合(EU)においては、少なくとも約20年前から子供から成人まで一貫した生涯学習プログラムを展開しており、現在はErasmus+プログラムとして洗練化を進めている。加えて、AIやロボットなどの最先端の科学技術の影響で、これからの仕事や労働の在り方(Futures of Work)やリカレント教育、生涯学習、それに関連するキー・コンピテンス等の更新をはかってきており、日本においてもこれらの動きに対応する必要がある。
そこで、本調査研究では、近未来を踏まえて、若手人材および成人対象の教育・訓練の内容や手法は今とどう変えるべきか?リカレント教育や生涯学習に関する最新の取組動向の特徴は何か? 「Future of Work」や「キー・コンピテンス」に関する議論はどのような展開を見せているか?若手人材および成人対象の教育・訓練の取組に関する効果測定はどうあるべきか?具体的な評価手法(指標含む)として参考になる事例はあるか?といった視点に立ち、国際機関などで議論されている「Future of Work」から将来の人材育成像を探るとともに、諸外国のリカレント教育の最新動向を調査した。加えて、国内の諸取組(テンプスタッフ株式会社、名古屋大学など)における課題を共有し、解決に向けての必要事項について検討している。
(新技術振興渡辺記念会助成)
リカレント教育における将来を見据えた取組に関する調査分析