人工知能(AI)が万能であるかのような言説が一時期メディアを覆っていた。特に、ディ ープラーニング(以下 DL)の手法が驚異的な成果を挙げ始めた 2010 年代の中頃以降、物体認 識の精度向上に伴い、「機械が眼を獲得した」という比喩的表現を真に受けて、まさに人工知 能ブームが再燃した。このような AI の社会的認識状況に関し、我々は本調査研究に先立ち、 認識論を基盤とした知識論の枠組みを用いて、2017 年の時点で我が国の実態を分析した。
対象としては日本経済新聞本紙掲載記事、人工知能学会誌論説、Priferred Networks 社開示の実施事例、それに政府の取り組み事例である。
本調査研究は、この実態的調査結果を踏まえ、DL を中心とする機械学習によるアプローチ では扱いがたい領域を想定し、その領域に踏み込むための次世代型人工知能とはどのようなものであるかについて検討を加えることにした。