超高齢社会を迎え、高齢者が生産性を保ちながら長生きすることが重要な課題である。しかしながら老年期痴呆などの脳内老化が医療のみならず大きな社会問題となっている。一方それを支える壮年期の生産者には、心筋梗塞、脳梗塞といった動脈硬化性の疾患への危険性が増大している。こうした疾病構造の変化を背景に増え続ける医療費を抑制するためにも、予防医学の確立が重要かつ急務である。漢方医学には古来より「未病を治す」という言葉があり、予防医学を重視している。事実動脈硬化や脳内老化が生体での酸化ストレスを誘因とした慢性炎症により進行するのに対して、生薬製剤である漢方薬には抗酸化の機能があり、それら疾病の進展予防に大きな期待がかかっている。
本調査研究では、動脈硬化・脳内老化に対する予防医学領域での漢方薬の、抗酸化能を評価することを目的とした。