我が国は「かぐや」を打ち上げ月探査活動を開始しているが、直後に中国が「嫦娥」を打ち上げるなど、宇宙探査とりわけ月探査については宇宙先進国の活動が活性化している。2020 年代には有人月面基地建設を視野に入れた計画も一部の国では公表されており、関係国は国際協働も念頭に入れ国際的な議論も活性化している。我が国は、世界を先導する位置にある一般的なロボット技術などの特質を生かした無人月宇宙探査で優位性を持つ。また国際宇宙ステーションを通じての関連技術蓄積や生命維持技術や先進宇宙通信技術など主要な構成技術の実績を有する有人宇宙活動については多くのポテンシャルを秘めている。輸送手段が定まれば具体的に2020年代に有人月探査活動に国際的な役割を果たすことが可能となろう。
ここで月惑星探査の国際協働において我が国の強みを生かし、先導的な役割を担う戦略的方策の検討に資することを目的とし、有人との協働を含めた無人探査技術の進展の可能性を予測する具体的な方法について調査分析し、問題点や課題の整理を行うことを目的とする。