我が国において、食品安全に関する関心が高まる状況において、厚生労働省薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会乳肉水産食品・毒性合同部会が、平成15 年6 月に発表した「水銀を含有する魚介類等の摂食に関する注意事項」において、その対象を「妊娠している方又はその可能性のある方」としているにもかかわらず、対象以外の消費者が魚介類の摂食を控える事態が生じた。これは我が国においてリスクコミュニケーションが未成熟であることを物語っている。本調査は、食品に関するリスクコミュニケーションの具体的な方策について、「水銀を含有する魚介類等の摂食」に関するリスクコミュニケーションに焦点を当て、国外諸国における具体的な取り組み事例を調査し、今後、東京都をはじめとする我が国の行政が対応すべき食品のリスクコミュニケーションの具体的な方策の検討に資することを目的として実施した。