はじめに文部科学省が5 年に1 回実施している科学技術予測調査では、向こう30 年後までを範囲とし、科学技術の将来動向について、専門家を対象としたアンケート調査(以下、デルファイ調査)を実施している。直近の調査は、2009 年から2010 年にかけて実施された第9 回調査であり、この調査では調査実施から20~30 年経過した第1 回調査(1970 年実施)から第5 回調査(1991 年実施)までの科学技術課題を対象に、課題の実現度の調査している(調査時点において、科学技術課題が実現しているかどうかの評価。評価方法は、「実現済み」、「一部実現」、「未実現」等)。第9 回調査での過去の科学技術課題の実現率の評価は、第1 回から第5 回デルファイ調査で予測された課題のうち、一部実現を含む実現率は約7 割であった。一方で、調査実施20 年後の課題の実現状況を見ると、第1 回調査の20 年後と比べ、第5 回調査の20 年後の実現率は低い状況にある。(文部科学省委託)